月別アーカイブ: 2019年1月

大学の障害者就労事情3

この3年間で、ベルーフの利用を大学卒業直後から始めた方が2名、大学4年在学中に利用の方が1名、卒業後1年引き篭った後の利用の方が1名が実績です。経済学部、法学部、工学部が専攻の内訳です。就労移行の存在は、本人自身では知りませんでした。クリニックで知った方が3名、大学のキャリアセンターで知った方が1名です。受給資格は卒業後の場合は問題なく認定されます。平成29年3月の東京都通達で、在学中でも認定可と成りましたが、区によって運用の幅があります。障害福祉担当部署の判断が鍵になります。就労への計画的見通しが明確であれば、受給資格認定の確率は高くなります。

就労移行の利用期間は平均15ヶ月です。専門的業務能力を身に付けるには時間が掛かります。この期間で20位の研修をマスターしますので、企業からの能力的評価は高いレベルです。就労ルートは、ハローワーク・オリジナルルート・斡旋会社等があります。大学生向け就職面接会が年1回、一般向け就職面接会が年3回公的機関によって行われますので、アプローチの機会は十分あります。利用手続き段階の情報、利用中の能力向上への取組み情報、就労のための活動情報がキャリアセンターで揃えられていれば、在学中及び卒業後の進路に不安を抱いている障害者学生を支援することができます。

播磨守

欧州精神障害者就労事情3

ドイツの隣国オーストリアもIntegrationsbetrieb統合企業が法制化され、障害者と非障害者による法人制度が広がっています。インスブルックの統合企業ARTISアルティスは、四つの事業展開をしています。レストラン・クリーニング・パッキング・ケータリングです。その中で、学校食堂事業Yummi !ヤミー(美味しい)!を詳しく視察することができました。ギムナジウムは中高一貫で大学進学を目指す学校です。このギムナジウム向けのケータリングがヤミーです。ギムナジウムの中には、広いスペースのヤミーカッフェが設けられ、休憩と昼食時にオープンし学生の飲食を満たしています。ギムナジウムに設置されたのは、ドイツと同じ理由で、アレルギーや肥満などから学生を守るためです。

ヤミーは、IT技術を駆使したシステムで運営されています。学生の家族が登録をするとカードが発行され、ネットにメニューが掲載され、それから注文を出します。当日カッフェで学生が注文することもできます。いづれもデジタル処理され、毎月銀行から引き落とされます。ビジネスモデルを体系的に視察できました。2010年では一ヶ所でしたが、2019年は三ヶ所に増えています。最先端を行くケータリング事業が展開されていることに驚嘆しています。日本のYummiがベルーフの夢です。http://www.yummi-online.at/

播磨守

 

ベルーフの周辺

文京区小石川がベルーフの所在地です。文京の名に相応しく、大学と付属の学校が多数集まっている地域で、朝は通学の学生のエネルギーに満ち溢れています。江戸時代は水戸藩上屋敷が置かれていた由緒ある土地柄です。松平播磨守の屋敷があった所は、播磨坂として地名に残されており、春には桜の名所です。坂を下ると小石川植物園があり、これからの季節は梅が楽しめます。

丸の内線茗荷谷駅は徒歩3分で至近です。駅近辺は飲食店が軒を連ねており、お昼時は大賑わいです。都バス02グリーンライナー小日向4丁目停留所は徒歩1分です。始発JR大塚駅から終点錦糸町駅まで走っています。大塚ー茗荷谷ー春日ー本郷三丁目ー湯島ー上野広小路ー御徒町ー蔵前ー本所ー錦糸町、と下町ツアーの様な路線です。江東区方面からも便利な路線です。又、春日は都バスと都営大江戸線三田線と乗換えができ、障害者手帳で都営交通を利用すると言う場合は好都合です。

竹早公園も近く散策が楽しめます。その隣の小石川図書館は都内でも有数の音楽資料を保有しており、図書、CD、LPレコード多数所蔵です。音楽好きには宝庫です。近くには石川啄木が住んでいた所があり、史跡として残っています。      文化的な環境、豊富な緑、交通の便の良さがベルーフの周辺です。

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欧州精神障害者就労事情2

2009年からの障害者就労の視察はドイツから始めました。ベルリン、ハンブルグ、ケルン、ケムニッツ、ミュンヘン、ジンスハイム、とドイツ中を歩き回りました。インテグラションズプロジェクト統合企業をメインにしています。統合企業は、従業員に障害者を25%~50%雇用することを前提としている法人制度です。

ベルリンでは、レーベンスベルテンというケータリングを主業務としている会社を視察しています。この会社は、統合企業の草分け的存在です。ドイツの中学校では給食は無く、家に戻って昼食を取るのが習慣ですが、共働きの家庭が増え、中学生は外食となって来ました。この外食によって肥満、アレルギーなどの食事が原因の問題が広がりました。レーベンスベルテンはこの問題を解決するために、学校に安全な食事をケータリングをすることによって、子供たちの健康を守る事業を始めています。今では、学校ケータリングから職安などの公共施設のレストランへのケータリングに拡大しています。更に、イベント&ケータリングという新しいコンセプトによる展開を行っています。年商は約30億円で一般市場で、十分競争力を持った事業として発展しています。CEFECではケータリング事業戦略の共有が行われ、各国に拡げられています。日本では障害者の雇用を前提とする法人制度はありませんので、統合企業の存在には大きなインパクトを受けています。https://lebensweltencatering.de

播磨守

2019年に何をするか

地球と言う惑星にとって時と言うのは、刻々と流れていくものであり、時そのものに意味はありません。その時の流れに暦を発明し、意味を持たせた人間は凄いと思います。寒さたけなわの頃に、年の初めと言う意味を持たせ新年としているため、何かを始めなくてはと思うのが1月です。そこで本日の研修テーマは「2019年に何をするか」を据え、それぞれが目標と計画を立てています。目標とはいつまでに何をするかを定量的に決めるものです。計画は目標達成のスケジュール化です。ベルーフは3ヶ月を四半期として、年間を第一から第四半期に区切って目標に向かって何をやるかを具体的に定め取り組みます。千里の道も一歩からで、日々の小さな歩みが大きな目標達成をもたらしてくれます。

ベルーフの研修生には就労が最終目標ですが、そのプロセスで勤怠の安定で週5日の出勤継続、ITパスポート、基本情報技術者等の資格取得、又就労活動でのアプローチ企業数50社達成などが途中目標となっています。目標と計画は覚悟を決めさせてくれます。成果を手に入れる構え作りの一日でした。

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