月別アーカイブ: 2018年12月

欧州精神障害者就労事情1

ヨーロッパには、精神障害者の就労を推進しているsocial firm europe CEFECというNGOがあります。1987年に設立され、EUから18ヶ国が参加しています。欧州の障害者就労を進めるためのネットワークの役割を果たしています。現在ベルーフはサポート会員としてメンバーになっています。設立当初からの幹事国ドイツのPeter Stadler氏から紹介を受け、2009年チェコのプラハで行われた第22回CEFEC会議に参加したのが会員になるきっかけでした。約150人が各国から集まっていました。

日本からは私共です。この会議で、ドイツ、イタリア、オーストリア、イギリス、ベルギー、チェコ、ギリシャ、等のメンバーと知己になり、遠路はるばるとやって来た日本人として歓迎されました。会議ではセミナーと現場視察に加わり欧州事情をつぶさに学ぶことが出来ました。印象的だったのは、どうやって、一般マーケットに精神障害者の就労のための事業を起こし、成功させるかという視点でした。一般就労と福祉的就労に分けられ、福祉的就労が大勢を占める日本には無い視点です。そこでメンバー達に、その国の現場の視察を依頼し、その後2009年から現在に至るまで約50箇所の視察を行っています。

播磨守

 

就労移行の選び方

現在都内には約200の就労移行支援事業所があります。事業所のサービス内容については、職員構成と施設条件は法で定められています。運営については東京都から指針が示されています。しかし、就労に対する具体的なサービス内容は定められていません。従って、各事業所が考えたサービスが提供されています。その中から、どの事業所を選ぶかについて、選び方を考えてみました。ベルーフを選ぶ場合は以下が考えられます。

  • どういう職種を目指すか:専門職、一般職、補助業務、の3つに分けられます。どの職種の実績数が多いかで選びます。
  • どういう業種を目指すか:IT技術職、事務職(総務・営業・専門)、営業職、管理職などの業種があり、実績数で選びます。
  • どの様な待遇を希望するか:正社員、無期契約社員、有期契約社員、パート社員、アルバイトなどに分かれます。実績数で選びます。
  • どの様な実務教育が行われているか:職業指導の方針と、カリキュラム数が20以上あるかどうかで選びます。
  • 就労支援の体制が整っているか:就労継続率が80%以上かどうかで選びます。

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就労職種はIT分野が最多です

ベルーフでは11月現在19人(内定1人)が就労しています。職種はIT系が10人、事務系が6人、マネジメント系が1人、個人事業が2人です。ベルーフは安定して長く働くため専門職での就労をメインにしています。専門職の企業ニーズはIT業務が高く,ベルーフの研修カリキュラムもITを充実させています。就労したIT系10人の業務を分析すると、SE 5人、プログラマー2人、Webサーバー管理2人、システム保守1人です。

最近の動向として、企業の精神障害者雇用への取り組みが、変化しています。特に、IT企業の動きが目立っています。これまで、IT業務を精神障害者が出来るとは思えないと雇用に消極的でしたが、十分業務を担当できる人材がいるとの認識に変ってきている企業が、増加しているのです。この傾向がベルーフのIT分野最多という結果に現れています。本物の腕があれば、就労チャンスは拡がっています。

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ベルーフの掃除は相労役です

吉田松陰の松下村塾は、史跡として萩の松蔭神社に保存されています。講義室と居室の二間の小さな平屋です。ここに約50名の塾生が学んでいます。古い建物のメンテナンスは塾にとっては、大事な仕事でした。松陰のスタンスとしては、増築や掃除は師弟としてではなく、共に学ぶものとして一緒に行うこととし、これを相労役といっています。共に担って取組むとの意です。ベルーフの清掃は、先人に習い相労役です。利用者と職員が共に取組むものです。清掃だけではなく学ぶ環境の維持は、ルール会議と称して全員が参画し、意見を述べ合いルールを作っていきます。ですから、ルールの共有と納得が図られ、気持ちの良い取組みと成っています。

ルール会議には、普段気になっていることがほとんど出てきます。それを参加者全員が検討し意見を述べ合います。この中から共通認識が生れてきます。従ってルールの出来た経緯が皆に浸透し、結束までよくなります。人間にとって重要なのは、自分が主人公で当事者であることです。ルール会議はそのトレーニングの場です。

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ベルーフの表現大会

2018年も残すところ後3週間で、街中も師走ムードに成っています。ドイツでは12月に入ると、中心街にクリスマス市場が立ち大賑わいに成ります。毎日お祭り騒ぎです。青空酒場も立ち、乾杯の輪が広がり、異国人の私も仲間に入って友好を深めました。ベルーフでは、12月恒例の忘年会が行われます。主たる目的は現在の利用者と就労した卒業生との交流です。今年は24日のクリスマスイブです。

忘年会の白眉は表現大会です。参加者は自分の得意芸を披露します。昨年は、漫才、オペラのアリア、1人カラオケ、職場の問題解決、第九斉唱、人工知能天気予報モデル等、多彩な芸が登場し拍手喝采の賑やかな催しでした。今年も目下、芸の登録が行われています。当日までマル秘なので残念ながら披露できませんが、今年も期待できる芸が目白押しです。お祭り騒ぎで発散することも、皆んなの協調が高まり、心が繋がります。

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cafe Beruf

ベルーフには喫茶コーナーが有ります。cafe beruf です。ベルーフは毎日プログラムがあり、研修に取組む運営をしています。研修には、集中して取組むことになります。集中ばかり続くと疲れます。そこで休養して疲れを発散する場としてオープンしています。休憩中や研修中に、一息入れて気分転換をはかりたい時の利用です。コーヒー、紅茶、日本茶、むぎ茶、ウォーターサーバーとお菓子が無料提供されています。又、朝起きたらどうも気分がすぐれない。しかし、ベルーフへの通勤はとぎらせたくない。でも、研修は気が重いというような時は、cafe beruf にお茶だけ飲みに来て帰るというのも有りです。

リラックスは人間にとって有益な効果があります。こころに緩急のバランスを与えてくれます。このバランスは、穏やかに備える時間をもたらし、行動へのエネルギーが静かに湧いてきます。cafe beruf が生み出す安息は、意外にも次の意欲に繋がるという気づきを与えています。ベルーフでお茶しませんか・・・

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大学の障害者就労事情2

そろそろ大学卒業の時期です。卒業単位は取れたが就職活動は実らず、卒業後の見通しが立っていない。こういう事情の障害者の学生が存在します。就職浪人*の予備軍です。(*不適切な表現をお許し下さい)ベルーフではこれまで3人存在しました。Aさんは20社を超える不採用で卒業後行き先なしでした。卒業後、ベルーフの利用を開始し、一年後にITの開発会社に技術職として就労しています。Bさんは在学中就労活動ができず、4年生時点で卒業後のベルーフ利用を決め、卒業後、ベルーフに進み1年8ヵ月後にマーケティング会社に就労しています。C さんは卒業後自宅に引きこもる生活でした。1年後ベルーフの利用を始め、2年9ヶ月でIT技術職として開発会社に就労しています。

大学卒業後の行き先なしの状況を、ベルーフ利用で解消し、じっくりと時間を掛けて就労を実現するという選択が有効です。ベルーフでは企業への就労条件を満たす取組みを用意しています。決して安易な道ではありませんが、自分が納得できる仕事を手にすることができます。Cさんは「ここだ!と言う確信を持った」と就労先について言っています。卒業後の見通しが立っていない皆さん、ベルーフへ!

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大学の障害者就労事情1

ベルーフでは、この秋大学にアプローチしています。主にキャリアセンターです。面談に応じて頂いた大学は、これまでに較べて格段に増えています。今回は15大学に応じて頂きました。他の就労移行のアプローチも多いようで、最初は警戒されますが、事業所説明と実績を示しますと信用して頂けます。その後は大学の障害者事情がお伺いできます。どの大学でも共通しているのは、在学障害者の把握が不十分とのことでした。従って就労の実態も把握し切れていないのが現状のようです。又就労移行や公共機関による就労支援については、迂闊な紹介はできないとの言葉も伺っています。本人の事情や希望を尊重するのではなく、就職が目的化し後々の離職に繋がっていると予測されます。

平成17年3月に出された東京都通達があります。卒業の単位が取れていること、就労が大学の支援だけでは困難なことなどの条件がありますが、大学在学中でも就労移行が利用できるとの通達です。これまでは在学中の利用はほとんどの区で不可でした。ベルーフではこの通達に基づいて、C大学(MARCH)の4年生が利用し、就職の準備を整え今年の4月2日に入社を果たした、という実例があります。大学生の障害者が就労するについては、課題がいろいろありますが、課題が解ける状況が拡がっています。大学生の皆さん、ベルーフは就労のための課題解決のプロです。ご相談下さい。

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新学期スタート

ベルーフは3ヶ月を一学期として、カリキュラムを構成しています。12月は新しい期のスタートです。今期は「データサイエンス入門」研修を実施しています。この研修は「統計の基礎」研修のアドバンスです。統計の基礎では記述統計学を学び、統計学の基礎的な概念とデータの扱い方を学びます。その上で、データサイエンス入門では推測統計学に取り組みます。推測統計学はデータから内容の分析、判断を行うものです。その中の白眉は、統計的仮説検定法です。この検定法によって、様々な事柄が以前より良くなっているかどうかの変化を推測することができます。

データサイエンティスト不足解消はこのところ、日本の産業界の重要な課題です。経済誌週刊ダイヤモンドによりますと、アメリカではデータサイエンティストが約14万人で、日本では約1500人とのことです。100分の1です。今年の4月には、日立製作所等の大手企業9社がスポンサーとなって、東大・慶大・筑波大・阪大・京大にデータ分析の講座を設けて育成を図るなどの動きが起こっております。ベルーフは既に2年前からデータサイエンティスト育成に取組んでいます。桜美林大学名誉教授で、経営工学と統計学を専門とするF教授の担当によるものです。新分野を目指す方にお薦めします。

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