デルナー博士との邂逅

 Klaus Doernerはハンブルグ大学医学部の精神医学者である。精神医療の改革者としてドイツでは著名である。Frickenhausの紹介でハンブルグのNissen通りの自宅を訪問し障害者就労の取組みを話すと忽ちスクラムを組んでくれている。デルナー先生がどういう人か全く知らなかったが、これを機会に障害者就労の本質を根本的に悟る事に成った。最初に先生は入院治療から居住治療への転換を教えてくれている。これは40年に亘って先生が取り組んで来た改革である。精神病院から入院ベッドを廃止し、患者が地域で働き生活をする人生に変えるのである。ドイツ中部のギューテルスローの精神病院長として400人の患者を退院させ市街に居住させている。ギューテルスローの奇跡としてモニュメントに成っている。精神病患者が長期間の入院生活を送ると云うのが当たり前の治療を根本的に変えるのは至難である。入院で患者を社会から隔離するというのは万国共通で、現代でも云わば当然の医療とされているが、1980年代からこれを居住医療に変える試行を行って来たのである。デルナー先生は数々の著作で、その原則と実践と成果を著している。私は先生から差しでその改革の教えを受けるに至った。障害者就労とは精神医療の改革を隗として始める事で有った。入院治療の根本的否定にぶつかりその本質的意味が解ったのである。デルナー先生は次々に認識と道を解らせてくれている。私は六十有余で新たな師を得る事と成ったのである。ハンブルグのNissen通りは私の大学である。播磨守

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