ドイツの障害者の就労の社会システム

ドイツは専門職による就労がスタンダードです。専門職はドイツ商工会議所によって分類分けが行われています。約300種類の仕事が21分野に区分されています。例えば、飲食分野には数種類の仕事があります。調理、配膳、接客、管理、等です。それぞれに業務基準があり、その基準をマスターしているかどうかは、商工会議所の認定を受けます。合格すると、専門職として認定され仕事に就くことができます。この基準は障害者も非障害者も同じです。障害者が専門職に就くための社会システムがドイツでは法によって定められています。2001年7月社会法典Ⅸが定められて、統合企業制度が作られました。統合企業とは障害者と非障害者によって構成することを条件として、設立を認可されている法人企業です。この様な形態の法人企業はヨーロッパにしかありません。取分けドイツでは社会法典Ⅸによって、積極的な推進が行われ、2019年時点で約900社の統合企業が設立されています。統合企業も含めて企業への就労制度を運営推進するための行政が、社会法典Ⅸに基づいて設立されています。BIH連邦統合局/中央福祉庁です。更にIFD統合専門サービスという地域で障害者と雇用企業を支援するサービス事業所が設立されこの20年間でドイツ全土に約170ヶ所が置かれています。BIHは施策と予算によって、障害者就労とその継続の成果を上げるのが仕事です。IFDは就労と継続の現場対応を行う行政サービス機関です。IFDはBIHから民間に委託された業務です。IFDの責任者はドクターの学位を持ったレベルの人達です。福祉の現場に博士がいる等は日本ではあまり聞いたことがありません。障害者就労の社会的な位置づけの格差を大きく感じるところです。東のIFDケムニッツの視察では統括責任者のデグナー博士にインタビューできました。役割の説明では、旧東ドイツでの統合企業の設立の現状が強く印象に残っています。「困難ではあるが我々は未来を作っているのです。」 播磨守 
*ケムニッツ:東独の頃は工業都市としての役割を果たし、現在はライプツィヒ・ドレスデンと並んでザクセン地域の中心都市

ドイツから学んだカリキュラム

ベルーフのサービスは就労教育と就労支援です。就労教育は専門職に就くためには必須のものです。教育カリキュラムはIT系ビジネス系セルフコントロール系の3種類で構成しています。専任インストラクターとオリジナルテキストによる定型カリキュラムです。自学自習やビデオ教材等のセルフワークスタイルのものはありません。研修生ごとに個別支援計画による1週間のプログラムが作られ、グループを組んで研修カリキュラムに取組みます。毎日2~3カリキュラムが同時進行で進められます。例えば、プログラミングC言語研修とアプリケーション研修が平行して行われます。カリキュラムは3ヶ月を1クールとして構成され、その時々の利用者の皆さんにベルーフから取組みカリキュラムが提案されます。提案を検討し最終カリキュラムを選択します。1週間で5つのカリキュラムに取組むのが一般的です。ベルーフ利用期間の平均16.4ヶ月で15~20カリキュラムをマスターすることに成ります。専門職の基礎能力はこの様にして培われます。この基礎能力は、IT企業から高く評価して頂いております。専門職として基礎能力を培うのは、ドイツの障害者の就労制度から学んだものです。就労移行支援事業所がどの様な職業教育を行うかは、法で特に内容やレベルが定められてはおりませんので、各事業所によって大きな違いがあります。ベルーフはカリキュラム内容と到達基準を明確に定めて、企業への専門職就労を可能にすることを方針としています。専門のIT業務能力を身につけたい方は是非ベルーフの教育システムをご利用下さい。 播磨守

一般企業の障害者雇用事情

一般企業の障害者雇用は、障害者雇用促進法により従業員数の2.2%と義務づけられています。雇用率による義務づけは、フランスやドイツの法制度に学んだものです。お手本のフランスは6%、ドイツは5%の雇用率です。日本はそれらと較べると半分以下です。いづれ同じ位の雇用率になると推測しています。法的な立場で企業の障害者雇用を推進しているのは、ハローワークの雇用指導部門です。これまで従業員数300名以上の企業から、現在では従業員数200名以上の企業へと指導が広げられております。200人ですと法的な義務は4.4人です。雇用がゼロの場合は納付金と社名が公表される罰則があり、これの適用が予想される企業は増えているようです。従って企業にとっては、社会的な信用の失墜に繋がる経営的な課題というのが障害者雇用です。年々ベルーフに見学にいらっしゃる企業が増加しているのは、以上のような背景からです。IT開発会社やIT業務が社内にある会社で200人以上のところが増えています。この傾向の理由は、業務能力です。障害者が自社の業務を担当できる能力を持っていないので雇用を促進してこなかったのが、ベルーフでは十分IT業務ができる障害者がいると、紹介されます。「本当だろうか?」と実際に確かめにいらっしゃるのです。見学後は、ベルーフの教育内容や実績は本物との評価を頂いています。ベルーフの利用者は精神障害や発達障害の方が多いのですが、能力的には企業から高い評価を受けています。この評価は、日々の地道な努力で培ったIT専門能力で得ています。こつこつとした地道な努力に自信のある方よ来たれ! 播磨守

パンフレットをリニューアルしています

パンフレットのリニューアルをしています。パンフレットの内容とデザインを大幅に変えています。各社の就労移行のパンフレットを色々な場所で見られるように成っています。利用希望の方は、ここの就労移行の特長は何か、を知り判断したいと思います。そこで、ベルーフの特長が明確に分かる様なメッセージで構成しております。当社の障害者就労の理念の原点はヨーロッパです。CEFECはヨーロッパの精神障害者の就労推進に33年取組んできた国際ネットワークです。EU加盟の20ヶ国で構成されています。毎年開催されるCEFEC国際会議に参画し、様々なことを考え、議論しベルーフを設立しています。この原点をお伝えし、何を目指しているか、何を行っているか、オープン以来5年間の成果は何かを端的に理解して頂く内容です。相当詳細な内容なので、デザインと構成は、ベルーフゆかりのデザイナーに依頼しています。ベルーフの理解を深くして頂いているため、制作の共同作業は満足のいくものと成っています。パンフレット中の写真には、ベルリンのパートナーのクラウス氏がベルーフを訪れた際の、連携を象徴するものを使っています。飯田橋、新宿、渋谷のハローワーク専門援助部門、20のクリニックネットワーク、35の大学ネットワークに置いて頂く予定です。ご連絡頂ければ直接お送り致します。播磨守

フォロワーシップ研修の紹介です

ベルーフの研修はビジネス研修、IT研修、セルフコントロール研修の三分野があります。ビジネス研修は8種類の研修で構成しています。フォロワーシップ研修はその中のひとつです。研修タイトルはfollowという言葉から作った和製英語です。上司を部下として支援し、結束の強いチーム運営をするための考え方と技術を内容としています。マネジャーの仕事については、一般メンバーは体系的に知る機会は余りありません。マネジャーからの指示や指導によって、上司の仕事ぶりを判断することが大半です。就労経験のある研修生の中で、マネジャーの経験を持っている人はほとんどいません。部下の立場でマネジャーを理解しているのが大半です。上司との関係は余りよくなかった、という声を聞くことが多いのですが、マネジメントについてよく知らないのが原因と考えます。この研修を実施しているのは以上のことが背景です。そこで、この研修ではマネジャーの役割について、その本質とやるべきことを歴史と理論から学び、メンバーとしてマネジャーに対して適切なフォローができる業務能力を身につけます。マネジャーの立場に立って仕事を考えてみるというのは、相当発想の転換が必要で、いい体験になるようです。この研修をきっかけにして、自分のマネジメントの才能を発見したり、IT技術者から経営企画部門へのキャリアチェンジをした方など、予想外の成果も挙げられています。会社で仕事をしていく時に自分の立場だけではなく、上司の立場に立って判断すると言うのも、仕事で成功するための要因の一つと思いませんか。 播磨守

就労例の紹介です

江田(仮名)さんはC大学経済学部の4年生でした。20社ほどの就活が実らず、クリニックで発達障害の診断を受けました。クリニックの紹介で当社を知り、卒業後はそのままベルーフを利用しています。「どんな仕事をしたいのですか」、江田「特にありません」からのスタートでした。一年間の取組みでITパスポートを取得し、IT技術者の道を選んでいます。赤坂にある開発会社に就職しました。20人の同期と一緒に長期社内研修に取組み、現場のチーム配属となっています。最初の業務はテストエンジニアです。間違いを見つけるというのは江田さんの特技ですので、ぴったりの仕事からスタートです。クライアント企業からはその仕事ぶりを評価され、異例のチーム表彰を受けています。その後SE業務に配属され、現在に至っています。3年のキャリアを積み中堅クラスとなり、リーダーとして後輩の指導を担当すると言う立場に立っています。江田さんは、ベルーフを利用して成功した典型的な例です。キャリアにブランクを作らず、こつこつと地道にキャリアアップに取組んだのがうまくいっているのです。ITの分野はまだまだ多様な人材を求めており、江田さんのようなキャリアの方が、今後輩出されるだろうというのが実感です。この開発会社は、今年の4月にベルーフから2人目を採用しています。 播磨守

卒業生との交流は財産です

12月現在で22名の卒業生がいます。卒業生とは就労後も交流があります。特に現在の研修生との交流が行われています。対話カッフェ、リラックス、お花見、忘年会などがその機会に成ります。仕事に就いていますので、祝日(ベルーフは営業しています)又は土曜日に参加です。対話カッフェでは、両者が同じテーブルについて意見を述べ合います。前回の対話テーマは「お金」でした。リラックスでは行事に参加です。美術館に行ったり、水族館に行ったり、区の施設でアイントップフというドイツの煮込み鍋を皆で料理し、会食したりしています。お花見は近くに江戸時代に松平播磨守の屋敷があった場所が播磨坂として残っており、区内でも有数の桜の名所で毎年の恒例行事に成っています。研修生に取っては先輩から、会社での仕事について、生情報を得られる貴重な機会です。卒業生にとっては、共に学んだ仲間との交流の機会と成ります。お互いの近況や時としては、悩み事の相談になったり、普段は話す相手の無い愚痴を言ったりできるアットホームな時と成っています。今月は恒例の忘年会がもうすぐ開催されます。特注の焼肉弁当と詰め合わせ料理で飲食をしながら、表現大会が行われます。それぞれの隠し芸を披露するのです。漫才、オペラの朗唱、AIによる天気予報、第九の斉唱・・・多士済々の芸が登場します。今年も賑やかな表現大会に成りそうです。卒業生はベルーフにとって、何ものにも代えがたい財産です。 播磨守

ベルーフのリワークプログラムの特徴

就労移行支援事業所をリワークとして利用できることは、あまり知られてはおりません。平成29年の東京都通達で条件付で利用が認められています。しかし利用の認定条件が、東京都の場合23区の区毎に違うのが現状です。区の認定条件に叶えば、利用ができます。ベルーフは、リワークプログラムを置いて精神障害系の休職者の方への対応をしています。医療機関のデイケアによるリワークとの違いは大きいです。デイケアのプログラムは医療職系のスタッフが担当し、内容としては疾患について学んだり、自己を振り返る療養系の内容が大半を占めます。ベルーフのプログラムは職場復帰を前提とする実務系です。認知行動研修は心のセルフコントロールに取組み、ビジネスパーソン研修は仕事の原則と適切な人間関係づくりのためのコミュニケーションに取組み、IT研修は業務能力のレベルアップやキャリアチェンジに取組みます。これらの研修によって、自分の傾向や能力的な強みを把握し、キャリアのグレードアップを図ります。実績として、大手データ会社のIT技術者の例があります。3度目の休職の時に、クリニックからの紹介でベルーフを利用しています。7ヶ月余りの取組みで勤怠と能力の安定が図られ、復職し経営企画部門にキャリアチェンジしています。その後、勤務を継続して4年目になります。ベルーフには専属の精神科医がおりますので、皆さんの個々の事情に応じた対応を致します。ご相談をお待ちしております。 播磨守

大学生のベルーフ利用案内

大学生が就労移行支援事業所を利用できることは、あまり知られていません。東京都の場合、各区や市の判断で利用の可否が行われ、基準がばらばらな状態なのも一因です。しかし平成29年3月の東京都通達で条件付きながら、大学生も利用ができるように成っています。条件は「卒業が見込める単位が取得できている」、「大学から就労のための支援を受けるのが難しい状態である」、が主なものです。ベルーフの実績としては、これまで3件あります。1件は在学中に利用し卒業後就労しています。他の2件は卒業と同時にベルーフの利用を始め、1例は1年もう1例は1年半後に就労しています。仕事はいづれも専門職です。この実績から大学を訪問し、精神障害や発達障害の大学生の方々に在学中あるいは卒業後の利用を勧めています。自大学にどの位の障害者がいるか、を把握しているかどうかがその大学の支援のレベルを現しています。専任の支援担当を設けて対応している大学は、少ないのが実情です。卒業を迎えて、行く宛ての無い学生の後姿を見送る他無いとは、ある大学の窓口の弁です。引きこもるしかない生活が待っているのです。社会的な損失です。就労移行を利用するにはどうすれば良いのか、ベルーフにご相談下さい。 播磨守

データサイエンスのすすめ

データサイエンスで問題が解決される事例として、不在配送があります。データの分析によって、適切な在宅ルート選択を行い、これまでは20%だった不在配送率を2%にすることができています。この様なビジネス上の問題解決をもたらすデータサイエンティストの育成は、日本の産業界にとって重要課題です。データサイエンス技術は統計とプログラミングがベースです。ベルーフでは統計の基礎とPythonプログラミングの研修を実施しています。これらは自学自習ではなく、専任インストラクターがオリジナルテキストで指導しています。インストラクターはそれぞれ統計学及びプログラミングの専門家です。プログラミングの担当者は専門誌「トランジスタ技術」の常任執筆者です。一流の専門家が、初心者が理解できるように原則を噛み砕いて導いてくれます。データサイエンスは新しい分野の仕事です。ベルーフは、この分野を障害者の職種として、大きな可能性を持っていると考えています。新職種なので、競争相手も未だ多くないので、有利な就職が見込めます。又在宅で行える仕事なので、日常的に人と接しなくても良い専門職です。この仕事にもデメリットはあると思いますが、今のところ見当たりません。IT技術者として、一緒にデータサイエンティストという道に向かいませんか。 播磨守